振動パイルハンマーの紹介

概要

バイブロハンマ各シリーズは、鋼矢板・ハット形鋼矢板・H形鋼杭・鋼管杭・鋼管矢板・ H形鋼矢板・コンクリート矢板等の既製杭の打込み・引抜き施工やサンドコンパクション等の地盤改良施工に、超高周波型から低周波型まで多様な機種・規格の構成により各種地盤・施工条件に対応できる。
振動の発振方法は、起振機内で半円状の偏心重錘(振り子)が回転によって発生する遠 心力を利用する慣性方式で、左右一対の同調歯車により水平方向の振動を打消し、鉛直方 向の振動力のみを発生させる。
バイブロハンマの起振機の原動機の駆動方式は、エンジン式パワーユニットからの圧油を駆動源とした油圧式と発動発電機等の電力を駆動源とした電動式に大別される。
油圧式・電動式ともに振り子式慣性方式を採用し、ゼロ起動・ゼロ停止機構により起動・停止時のクレーンブームおよび地盤との共振現象を解消することが可能となり、地盤振動と機械騒音を抑制し、運転中の振幅を可変することにより地盤条件と杭条件に適した振動エネルギーで施工することが可能なタイプが主流となっている。

ゼロ起動・ゼロ停止型バイブロハンマ

技術の概要

非接触式で起振機外部取付型の振幅可変型変換器を搭載したゼロ起動・ゼロ停止機構を採用して、従来欠点とされていた振り子式バイブロハンマの起動・停止時のクレーンブームや地盤との共振現象による地盤振動・機械騒音等の二次公害を解消し、油圧式・電動式バイブロハンマの振幅ボリュームによる運転中の振幅調整を可能にしたバイブロハンマをゼロバイブロハンマシリーズと総称している。
このゼロバイブロハンマシリーズは打込みまたは引抜き対象となる杭や矢板の規格、および現場周辺の環境への配慮の度合い等から次のように分類される。
都市土木では、油圧式可変超高周波型SRシリーズ(周波数0~60Hz)、一般土木には操作性と整備性に優れる高周波型電動式可変モーメント型ZEROシリーズ(周波数16.3~20 Hz)、鋼管杭・鋼管矢板の打込みを主目的とする大型土木には、低周波型電動式可変モーメント型ZEROシリーズ(周波数11.7~13.3 Hz)が使用される。

ゼロバイブロハンマのゼロ起動・ゼロ停止の原理を図1.1-1に示す。

 

起動時起動時
一軸上で固定偏心重錘と可変偏心重錘が180度相対して回転を開始(ゼロ起動)する。所定の周波数に達するまで、バイブロハンマは振動しない。
運転時
(最大能力)
運転時
(振幅可変)
運転時
地盤との共振域を超えた周波数に達した後、自動的に可動偏心重錘を制御し、振幅を発生させる。運転中でも振幅ダイヤルの操作で、振幅を可変することができ、振動エネルギーをゼロから最大まで制御できる。
停止時停止時
起動時と同じくそれぞれの偏心重錘を180度相対して、振幅をゼロにしてから停止(ゼロ停止)する。地盤やクレーンブームとの共振を解消して停止できる。

図1.1-1 ゼロ起動・ゼロ停止の原理

特に、SRシリーズは国土交通省国立研究開発法人土木研究所の超高周波振動理論に基づくバイブロハンマにゼロ起動・ゼロ停止機構を採用し、起動・停止時の地盤とクレーンブームの共振現象を解消した超高周波型振動杭打抜機で、油圧駆動の特性を活かし周波数を0~60Hzの範囲で任意に可変できる。